福祉施設の建設を考え始めたとき、設計事務所選びに迷う方は少なくありません。福祉施設は一般的な建築と異なり、利用者の安全性や職員の動線、複雑な行政手続きへの対応など考慮すべき点が多く、専門的な知識が不可欠だからです。
設計事務所を選ぶ際、多くの「実績」を持つ事務所は確かに安心ですが、一方で「自分たちの想いにどれだけ寄り添ってくれるか」という相性も、プロジェクトの成功には欠かせません。
この記事では、静岡で福祉施設の設計を依頼する際に押さえておきたいポイントを整理しながら、それぞれの事務所の特徴や選び方の視点をご紹介します。施設の目的やご自身の重視したいスタイルをイメージしながら、パートナー探しの参考にしてみてください。
福祉施設とは:建物ではなく「生活と支援の場」

福祉施設とは、高齢者や子ども、障害のある人など、日常生活や成長の過程で支援を必要とする人が利用する施設です。
これらは単なる「箱(建物)」ではなく、利用者にとっては「生活や発達の場」であり、職員にとっては「支援を提供する職場」です。
建築基準法だけでなく、高齢者向け施設や保育施設、障害者支援施設など、それぞれの種別に応じた法律や行政基準をクリアする必要があります。そのため、計画の初期段階から静岡県や各市町村との綿密な協議が必要になるケースも少なくありません。
完成後の「見た目」だけでなく、日々の運営オペレーションまで見据えた設計が求められるため、施設の目的や役割を深く理解した上で計画を進めることが大切です。
静岡県内の主な福祉施設と設計の視点

計画を進める際には、施設の種類によって検討すべき視点が異なります。ここでは県内でニーズの高い施設の種類と、それぞれの特徴を整理します。
老人デイサービスセンター
高齢者が食事や機能訓練、レクリエーションなどの支援を受ける通所型の施設です。
利用者の身体状況には幅があり、車いす利用も想定されます。また、送迎車の出入りが頻繁であるため、施設内のバリアフリーだけでなく、「送迎時の安全な乗降」や「玄関周りの混雑緩和」が運営のカギとなります。
保育所
子どもが生活の大半を過ごす場です。0歳児から就学前まで、年齢による発達差が大きいため、同じ保育室内でも年齢に応じた安全性や使い分けが求められます。
保護者の送迎が日常的に発生するため、セキュリティ確保と利便性のバランスも重要な検討事項です。
福祉施設に強い設計事務所を選ぶ5つの条件

福祉施設の設計は、パートナー選びで決まると言っても過言ではありません。以下の5つの視点から、ご自身のプロジェクトに合う事務所を検討してみてください。
1. 「実績の数(安心感)」か「伴走力(寄り添い)」か
設計事務所選びで最も重要なのがこの視点です。
多くの事例を持つ事務所や組織事務所には、積み重ねられたノウハウによる「安心感」と「確実性」という大きな価値があります。行政手続きや標準的な仕様決定もスムーズに進むでしょう。
一方で、個人事務所や小規模な事務所には、実績の数では測れない「施主への寄り添い(伴走力)」という強みがあります。
「前例通り」の答えではなく、事業者様の想いや現場の悩みにじっくりと耳を傾け、「一つひとつの課題を一緒に考え、オーダーメイドで解決してくれる」というパートナーシップを重視したい場合は、個人事務所の方が相性が良いケースが多々あります。
効率的に正解を導き出してほしいのか、それとも悩みながらでも自分たちだけの施設を一緒に作り上げてほしいのか。事務所の姿勢や相性が自社のプロジェクトに合っているかどうかが、納得のいく施設づくりの分かれ道になります。
2. 利用者と職員、双方の動線をシミュレーションできる
福祉施設では、食事・入浴・移動・介助など、人や車いすの動きが頻繁に交差します。動線計画が甘いと、事故のリスクが高まるだけでなく、職員の業務負担が増大します。
図面上で「運営の動き」をシミュレーションし、現場の負担を減らす提案ができるかが重要です。
3. 静岡の地域ごとの補助金制度や行政手続きに詳しい
福祉施設の建設には、行政との事前協議や複雑な申請業務が伴います。静岡県内でも市町村によって窓口やルールが異なる場合があるため、地域の事情に精通していることがスムーズな進行の条件です。
設計だけでなく、事業計画の全体スケジュールをリードできる事務所が安心です。
4. 運営目線での細やかな相談ができる
「この位置で職員は見守れるか」「混雑時に車いす同士がすれ違えるか」など、現場レベルの細かな懸念に答えられるかも重要です。法規や寸法の話だけでなく、実際のサービス提供場面を想定した対話ができる事務所を選びましょう。
5. サイト等で専門情報を発信している
設計事務所のウェブサイトに、福祉施設に関する知見や考え方が掲載されているかも判断材料です。情報を発信しているということは、その分野への深い関心や勉強量がある証拠でもあります。
一般建築とは違う!施設種別ごとの設計ポイント

福祉施設の設計には、一般住宅や商業施設とは異なる「プロの視点」が必要です。
老人福祉施設の設計
歩行や車いす利用を前提としたバリアフリーはもちろんですが、転倒リスクを抑える床材選定や、認知機能に配慮したわかりやすい動線計画が求められます。トイレや浴室の配置は、利用者のプライバシーと職員の介助しやすさのバランスが重要です。
障害者支援施設の設計
利用者一人ひとりの特性に合わせ、音や光の入り方を調整したり、パニック時に落ち着けるスペースを設けたりといった環境調整が必要です。集団で過ごす場と個のスペースをどう区切り、どうつなげるかが設計の腕の見せ所となります。
保育所の設計
保育士がどこにいても子どもの様子を確認できるよう、死角を極力なくす空間構成が基本です。一方で、子どもたちが年齢に応じた遊びに集中できるよう、家具や建具で緩やかに空間を仕切る工夫も求められます。
静岡での福祉施設設計は、サテライト一級建築士事務所へ

福祉施設の設計には、建物の知識だけでなく、福祉・介護の現場への深い理解が必要です。
豊富な実績を持つ大手事務所には、確かな信頼と安心感があります。
一方、私たちサテライト一級建築士事務所のような個人事務所には、お客様のプロジェクト一つひとつに深く入り込み、親身に寄り添えるという良さがあります。
「まだ実績はこれから」という段階だからこそ、一つひとつのご依頼に対して、丁寧すぎるほどのリサーチと、徹底した対話をお約束できます。「効率」よりも「納得」を大切にしたいとお考えの事業者様は、ぜひ一度お話を聞かせてください。
まだ土地が決まっていない段階や、事業計画のご相談からでも構いません。まずはあなたの理想の施設のイメージを共有するところから始めましょう。
